Impatience

 ぼんやりとした微睡みの隙間で、窓から射し込む太陽の光を見た。午前の終わりに落とされた悪夢のループから這い出して、じっとりと寝汗を搔いていた。四度目でようやく撃退した、皆が口々に私を責めたそれは酷く現実に近いように思えて、醒めたというのに違う滴が頬を伝っていった。変に眠った時の気怠さは、市販薬を過剰服用した時の離脱症状に似ている気がする。自分が今薬を飲んでいるような錯覚に陥って、思わず自らを嘲笑した。未だ不意に襲ってくるその感覚をほんの少しだけ恋しく思ってしまうのは、きっと私の弱さでしかないのだろう。変われないことに焦燥感を覚える。出勤出来ないのは何度目だと、内側から責める声がする。私を責めているのはいつも私だ。それも変わっていないことが、悲しくて虚しい。嘆くだけの自分が腹立たしい。重い身体を奮い立たせて、布団から起き上がる。とりあえず腹を満たそうと思った。食事は良い。美味しいものは一瞬でもつらい気持ちを忘れさせてくれる。それに肖って食べる量が増えていることは自覚しているけれど、とてもじゃないが減らせそうにはなかった。食に依存しているのだ。薬よりかは良いだろうと自分を納得させて、毎日毎日明らかに代謝より多い量を飲み込んでいる。そんなことをしても変わるのは体重だけだとわかっていて、抜け出せない。早く健康になりたい、と、気持ちだけが焦っている。「すごく焦って生きようとしているように見える」と言われたのを思い出す。ただただ焦っている。此処でひとり、焦り続けている。

 明日は出勤できるだろうか。今はそれが一番怖い。