夜半

 親が送ってくれた蜜柑を食べている。泣き止んだばかりの乾ききった身体に甘酸っぱさが沁み込んでいく。今日を昨日にしてしまえばいいとわかっていながら、地続きの明日がまだ来ないのをいいことに今日へしがみ付いている。暗い部屋で独り、戻らない時を思う。自責の念ばかりが強くなっていく。取り零した何かをずっと探して、追い掛けて、また涙に濡れた。拭った指先は酷く冷えて震えている。いつの間にか蜜柑は消えていた。消灯。