2020-03-10 憧憬 遠く遠く、空が燃えている。 滲んだ赤を睨み付ける。 ユーラシア大陸みたいな雲が夜を連れて来る。 黄色い丸が支配する夜を。 わたしの心もお月様なら良かった。 翳る日の方が少ないんだもの。 満ちたって欠けたってかまわない。 だから夜よりも深い闇に支配されたくなんてなかった。 引っ掻いた流れ星みたいな傷が、今日もちりちりと痛む。 闇に呑まれたままで、わたしはずっと、月を見上げている。